107 名前:番組の途中ですが名無しです 投稿日:2006/07/28(金) 07:39:26 id:w6Uc1d5i0
どこの国でも大学院生はオタク親和性が高いもので,日本アニメを見たことがある同級生は結構多い.
ところが,平均的なアメリカ人にとっては「アキラ」や「Ghost in the shell」のようなサイバーパンクこそが
日本アニメである.したがって彼らに宮崎作品の感想を聞くと「あれはあくまで子供向けであって,
俺はそんなくだらないものは見ない」という反応が返ってくることが多い
(もちろん日本アニメならなんでもOKのディープな奴も結構いて「犬夜叉の兄の名前はなんだったかな?」
などと質問してきて閉口する).

このような不理解と偏見を打ち砕くべく,先日我が家で「となりのトトロ」上映会を敢行した.
強制的に呼び集められた友人たち(アメリカ人,イタリア人,中国人)が黙然としてテレビの周りに
座り込む.宣伝が終わり本編が始まると,最初に流れるのは有名なテーマソング「歩こー歩こー,わたしはー元気ー!」
である.そのあまりに童謡的な曲調と絵柄に,アメリカンが早くも脱落しかける.
みんなでバーにビール飲みに行こうというのを宥めすかし,

「この,どうみても子供向けの映画に,日本のアニミズム的宗教観の
全てが詰まっておるのだ.これは日本文化を理解するのには不可欠な,
本当にシリアスな名作なのだ.さらに言おう,登場人物は最後には
全員死ぬ」などと虚実を織り交ぜた熱弁を振るい,何とか席に着かせる.

しかし話が進むうちに,最初投げやりだった彼らもどっぷりと引き込まれていく.日本式家屋,
神木の注連縄,稲荷,地蔵,農村風景のいたるところが興味深いらしい.

さらに作品の終盤でメイが迷子になり,サツキがそれを必死で探すシーンなど,
涙も拭わず見入っている.かと思ったらアメリカ人が
「もういい沢山だ,止めてくれ.この子もお母さんもみんな最後に死ぬのかと思うと可哀想で見ていられない」
って簡単に信じてんじゃねーよ!

結局,全員が深く感動しての散会となった.そのうち二回目の上映会を開催する予定である.
次回も無難に「千と千尋」あたりを見せようか,あるいはいきなりファーストガンダム劇場版を見せてみようか,
などといろいろと思案中.「蛍の墓」?あの話,嫌いだから却下.